2026年10月から、みずほ銀行・りそな銀行・三井住友信託銀行の3行が新規借入向けの住宅ローン変動金利を引き上げ、大手5行の最優遇金利はいずれも年1%を超えました。背景にあるのは、日本銀行が9月18日に決めた政策金利1.25%への追加利上げです。すでに変動金利で借りている人も、11月の短期プライムレート改定を経て、2027年春以降に適用金利が見直される可能性が高いといわれています。
この記事では、何がいつ変わるのか、返済額はいくら増える見込みなのか、固定金利への切り替えや繰り上げ返済をどう考えればよいのかを、日銀・各銀行の公表資料をもとに整理します。
この記事でわかること
✓ 2026年10月に変動金利を上げた銀行と新しい金利水準
✓ 日銀の利上げが住宅ローンに届くまでの流れとスケジュール
✓ 借入3,500万円で返済額はいくら増えるかの試算
✓ すでに借りている人の返済額が変わる時期(5年ルール・125%ルール)
✓ 固定への切り替え・繰り上げ返済・借り換えの判断ポイント
結論・最新状況|10月から大手3行が変動金利を引き上げ
まず押さえたいのは、「新規で借りる人の金利」はすでに10月から上がり、「すでに借りている人の金利」は11月の短期プライムレート改定を経て、2027年4月前後の見直しで反映される見込みという時間差です。報道(NHK・時事通信 2026年9月30日)によると、10月適用の新規借入向け変動金利は大手5行のうち3行が引き上げ、固定金利は5行すべてが引き上げました。
| 銀行 | 変動金利(新規・最優遇) | 前月比 | 固定10年(新規・最優遇) |
|---|---|---|---|
| 三菱UFJ銀行 | 年1.195% | 据え置き | 年3.75% |
| りそな銀行 | 年1.25% | +0.30% | 年4.205% |
| みずほ銀行 | 年1.275% | +0.25% | 年3.60% |
| 三井住友銀行 | 年1.525% | 据え置き | 年4.00% |
| 三井住友信託銀行 | 年1.70% | +0.62% | 年4.965% |
※2026年10月適用分。各行の公表金利・報道をもとに作成。実際の適用金利は審査結果や条件により異なります。
ネット銀行でも、auじぶん銀行が変動金利の基準金利を10月から0.6%引き上げるなど、同様の動きが広がっています。住宅ローン比較サイトの集計では、10月の変動金利はメガバンク平均で年1.3%台、ネット銀行平均で年1.5%台と報じられています。
そもそも何が起きたのか|日銀の利上げが住宅ローンに届くまで
変動金利が上がる出発点は、日本銀行の金融政策です。日銀は2026年6月の会合で政策金利を1.00%に、続く9月18日の会合で1.25%へと引き上げました。3か月という短い間隔での追加利上げで、政策金利の水準は1995年以来およそ31年ぶりの高さと報じられています(NHK 2026年9月18日)。
銀行の住宅ローン変動金利は、多くの場合短期プライムレート(短プラ)という企業向け貸出の基準金利に連動して決まります。日銀が利上げすると、銀行はまず短プラを引き上げ、その後に住宅ローンの基準金利(店頭金利)を見直す、という順番で波及していくのが一般的です。
今回の流れを時系列で整理すると、次のようになります。
三菱UFJ銀行・みずほ銀行は、6月の利上げを受けて8月3日に短プラを2.125%から2.375%へ引き上げ、9月の利上げを受けて11月2日に2.625%へ引き上げると発表しています(三菱UFJ銀行 2026年9月18日発表)。三井住友銀行・三井住友信託銀行も11月に同水準へ改定する予定と報じられています。
つまり、新規借入の変動金利はすでに10月から上がり始めていますが、すでに借りている人の金利は短プラ改定のあとで見直される、という二段構えになっています。
💡 ポイント
日銀の利上げ(9月18日)→ 短プラ引き上げ(11月2日)→ 既存契約の適用金利見直し(多くの銀行で2027年4月1日基準)という順で波及します。今日明日で返済額が変わるわけではなく、通知を待つ時間はあります。
数字で見る|返済額はいくら増える?
金利が0.25%上がると、毎月の返済額はどのくらい変わるのでしょうか。借入3,500万円・返済期間35年・元利均等返済・ボーナス返済なし、金利が全期間変わらないという前提で試算すると、次のようになります。
| 適用金利 | 毎月返済額 | 年間返済額 | 35年の総返済額 |
|---|---|---|---|
| 0.5% | 約90,855円 | 約109.0万円 | 約3,816万円 |
| 0.75% | 約94,775円 | 約113.7万円 | 約3,981万円 |
| 1.0% | 約98,800円 | 約118.6万円 | 約4,150万円 |
| 1.25% | 約102,930円 | 約123.5万円 | 約4,323万円 |
| 1.5% | 約107,165円 | 約128.6万円 | 約4,501万円 |
※編集部試算(概算)。借入直後から同じ金利が続いた場合の目安で、実際の返済額は金利の変動時期・残高・残期間によって異なります。
この条件では、金利が0.25%上がるごとに毎月の返済額は約4,000円、年間で約5万円ずつ増える計算です。数年前まで一般的だった0.5%前後から1.25%になった場合、毎月約12,000円、年間では約14.5万円の負担増になります。
すでに借りている人の場合は、残高と残り期間で考えます。たとえば残高3,000万円・残り30年なら、金利が0.25%上がると毎月の返済額は約3,400〜3,600円増える試算が一般的です(残高が少なく残期間が短いほど影響は小さくなります)。
日銀の政策金利(9月18日〜)
1.25%
短プラ(11月2日〜・三菱UFJ等)
2.625%
変動型を選んだ人の割合(2026年1月調査)
75.0%
住宅金融支援機構の「住宅ローン利用者の実態調査(2026年1月調査)」では、2025年4〜9月に住宅ローンを借りた人の75.0%が変動型を選んでいます。前回調査より4.0ポイント下がったとはいえ、4人に3人は変動型という状況で、今回の引き上げの影響を受ける世帯は多いと考えられます。

すでに借りている人|返済額が変わるのはいつ?5年ルール・125%ルール
変動金利ですでに借りている人がいちばん知りたいのは「自分の返済額はいつ、いくら変わるのか」でしょう。ここは契約している銀行の商品ルールによって異なりますが、大手行の一般的な仕組みは次のとおりです。
適用金利の見直しは年2回(4月1日・10月1日基準)が多い
多くの銀行では、変動金利型の適用金利を毎年4月1日と10月1日の基準金利をもとに見直し、それぞれ翌々月(6月・12月)の返済分から新しい金利を適用します。11月2日の短プラ改定は10月1日の基準日を過ぎているため、既存契約への反映は2027年4月1日基準の見直しからになる、という見方が一般的です。ただし、見直しの基準日や反映時期は銀行によって異なるため、必ず自分の契約内容で確認してください。
元利均等返済なら「5年ルール」で返済額は5年間据え置き
元利均等返済(毎月の返済額が一定のタイプ)では、金利が変わっても毎月の返済額は5年間変わらない「5年ルール」が設けられているのが一般的です。三菱UFJ銀行の説明では、「10月1日を1回経過する毎に1年経過したものとみなし、返済額は5回目の10月1日を基準とした利率で見直し、その翌年1月以降最初の返済分から変更する」とされています。
ただし返済額が変わらなくても、内訳は変わります。金利が上がると返済額のうち利息の割合が増え、元金の減りが遅くなるため、「返済額が同じ=負担が同じ」ではありません。
見直し時の増額は前回の125%まで(125%ルール)
5年ごとの見直しで返済額が増える場合も、新しい返済額は前回までの返済額の125%が上限になるのが一般的です(三井住友銀行・三菱UFJ銀行のFAQ)。たとえば毎月10万円なら、見直し後は最大12万5,000円までということです。
⚠️ 注意
5年ルール・125%ルールは返済額の急増を抑える仕組みであって、利息を免除する仕組みではありません。金利が急上昇して利息が返済額を超えると「未払利息」として繰り延べられ、最終回に残高が残れば一括返済が必要になる場合があります。また、ネット銀行などにはこれらのルールがない商品もあります。元金均等返済の場合は、金利変更後の返済分からすぐに返済額が変わります。
選び方・対策|固定に変える?繰り上げ返済?借り換え?
金利上昇局面で取れる選択肢は大きく4つです。どれが正解かは残高・残期間・家計の余力によって変わるため、ここでは判断の材料を整理します。
| 選択肢 | 向いている人 | 注意点 |
|---|---|---|
| ①そのまま変動で続ける | 残高が少ない・残期間が短い・貯蓄に余裕がある | 金利上昇が続けば利息負担は増える。繰り上げ返済の原資を確保しておく |
| ②一部繰り上げ返済 | 手元資金に余裕があり、総返済額を減らしたい | 生活防衛資金(生活費の半年分が目安)は残す。手数料の有無を確認 |
| ③固定金利への切り替え | 返済額が増える不安を取り除きたい・残期間が長い | 10年固定は年3.6〜4.2%台と変動より約2.5%高い。切り替え時点で返済額は増える |
| ④他行への借り換え | 今の金利が他行より明らかに高い・残高1,000万円以上・残期間10年以上 | 手数料・保証料・登記費用で数十万円かかることが多い。審査も必要 |
固定金利への切り替えについては、現状の固定10年の金利が年3.6〜4.2%台と変動金利より大幅に高い点が悩ましいところです。変動型1.25%の返済額(3,500万円・35年で約10.3万円)に対し、仮に固定3.6%で同条件なら月約14.7万円になり、「上がるかもしれない将来の負担」を「確実に増える今の負担」で買う形になります。固定にする判断は、金利の予想より「返済額が増えたときに家計が耐えられるか」を軸に考えるのが現実的です。
繰り上げ返済は、金利上昇局面でもっとも確実に効果が出る対策です。ただし、手元の貯蓄を使い切ってしまうと、病気や収入減のときに困ります。
✅ 今すぐ確認したい5項目
✓ 契約書・返済予定表で「金利の見直し基準日」と「返済額の見直し時期」を確認する
✓ 銀行のマイページやアプリで現在の適用金利と優遇幅(引き下げ幅)を確認する
✓ 残高・残期間から「0.25%上がると月いくら増えるか」を試算しておく
✓ 生活費の半年分を残したうえで、繰り上げ返済に回せる金額を決める
✓ 住宅ローン控除の適用期間と、団体信用生命保険の内容をあわせて確認する
家を買ったときに加入した団体信用生命保険(団信)や、合わせて見直す生命保険・火災保険についても、このタイミングで確認しておくと保障の重複や不足に気づきやすくなります。
▶ 保険見直しのタイミング完全ガイド|ライフステージ別チェックリスト【2026年最新】
▶ 【2026年10月】火災保険の値上げはいくら?3%改定の中身と見直し方
これから借りる人|変動と固定、どちらを選ぶ?
これから住宅を購入する人にとって、変動と固定の差は住宅ローン比較サイトの集計で「過去最大級」と報じられるほど開いています。10月の金利は、変動が年1.2〜1.7%台、固定10年が年3.6〜4.2%台、全期間固定のフラット35が年3.83%(住宅ローン比較サイト集計、集計開始以来の最高水準と報道)です。
変動型は金利が低いぶん、「金利が2%になっても返済できるか」を事前に試算しておけるかどうかが選ぶ条件になります。借入3,500万円・35年なら、金利2%で毎月約11.6万円、1.25%との差は月約1.3万円です。この差額を貯蓄に回しておけば、将来の上昇に備える「自分で作る固定化」ができます。
一方で、返済比率がすでに高い世帯や、教育費のピークがこれから来る世帯は、返済額が読める固定型のほうが安心できる場合があります。住宅購入の流れ全体や諸費用の考え方は、次の記事で解説しています。
💡 ポイント
金利タイプの正解は「予想が当たるか」ではなく「上がっても耐えられる設計か」で決まります。変動を選ぶなら金利2%での返済額を試算し、差額を積み立てておくのが現実的な備えです。
注意点|金利上昇期にやってはいけないこと
金利上昇のニュースを見て慌てて動くと、かえって損をする場合があります。次の3点には注意してください。
1つ目は、貯蓄を全額使った繰り上げ返済です。返済額が増える前に減らしたい気持ちはわかりますが、生活防衛資金まで取り崩すと、収入減や急な出費のときにカードローンなど高金利の借入に頼ることになりかねません。
2つ目は、手数料を確認しない借り換えです。借り換えには事務手数料(借入額の2.2%が多い)・保証料・登記費用などがかかり、金利差が小さいと費用倒れになります。残高1,000万円以上・残期間10年以上・金利差0.5%以上が目安といわれますが、必ず総費用込みで試算してください。
3つ目は、「必ず上がる」「必ず下がる」という前提で決めることです。日銀の今後の利上げペースは、民間の予想でも「2027年に1.5〜2.0%程度」から「2%超」まで幅があります。将来の金利は誰にも断定できないため、どちらに動いても家計が壊れない設計を優先しましょう。
光熱費や食品の値上がりが続くなかで、固定費全体を見直す視点も役立ちます。
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よくある質問(FAQ)
Q1. 変動金利で借りています。11月から返済額が上がりますか?
A. 11月に上がるのは銀行の短期プライムレートで、既存契約の適用金利は多くの銀行で2027年4月1日基準の見直しから反映される見込みです。さらに元利均等返済で5年ルールがある場合、毎月の返済額自体は5年ごとの見直しまで変わりません。ただし銀行・商品によって異なるため、契約内容と銀行からの通知で確認してください。
Q2. 金利が0.25%上がると、月いくら増えますか?
A. 残高3,000万円・残り30年なら毎月約3,400〜3,600円、残高3,500万円・残り35年なら約4,000円が目安です。残高が少なく残期間が短いほど影響は小さくなります。
Q3. 今から固定金利に変えたほうがいいですか?
A. 固定10年は年3.6〜4.2%台と変動より約2.5%高く、切り替えた時点で返済額は確実に増えます。金利の予想ではなく「返済額が増えても家計が耐えられるか」で判断し、迷う場合は金融機関やファイナンシャルプランナーに残高・残期間を示して試算してもらうのが確実です。
Q4. 5年ルール・125%ルールはどの銀行にもありますか?
A. 大手銀行の元利均等返済には設けられていることが多いですが、一部のネット銀行や元金均等返済にはありません。契約書や商品説明書で確認してください。
Q5. 繰り上げ返済はいつ、いくらすればいいですか?
A. 金利上昇前に行うほど利息軽減効果は大きくなりますが、生活費の半年分程度の生活防衛資金は残すのが基本です。手数料がかからない銀行も多いので、少額をこまめに行う方法もあります。
Q6. 住宅ローン控除への影響はありますか?
A. 住宅ローン控除は年末残高に応じて所得税などが減る制度で、金利が上がっても控除額の計算方法は変わりません。ただし、繰り上げ返済で残高を減らすと控除額も減るため、控除期間中は「利息軽減」と「控除減少」のバランスを比べて判断する必要があります。
Q7. 日銀はこれからも利上げを続けますか?
A. 日銀は「経済・物価の見通しが実現していけば利上げを続ける」という姿勢を示していますが、時期やペースは決まっていません。民間の予想も幅があるため、どちらに動いても対応できる家計設計を優先するのが現実的です。
結論|住宅ローン変動金利の引き上げで押さえておきたいこと
- 2026年10月、みずほ・りそな・三井住友信託の3行が新規借入の変動金利を引き上げ、大手5行の最優遇金利はすべて年1%超になった。
- 出発点は日銀の9月18日の利上げ(政策金利1.25%)。短期プライムレートは11月2日に2.625%へ上がり、既存契約の適用金利は2027年春の見直しから反映される見込み。
- 借入3,500万円・35年では、金利0.25%の上昇で毎月約4,000円、0.5%→1.25%なら毎月約12,000円の負担増になる試算。
- 元利均等返済なら5年ルール・125%ルールで急な増額は抑えられるが、利息が免除されるわけではない。
- 対策は「契約の見直し時期の確認」「生活防衛資金を残した繰り上げ返済」「金利2%でも返済できるかの試算」の順に進める。
まとめ

- 新規借入の変動金利は10月から上昇。すでに借りている人は11月の短プラ改定→2027年春の見直しという時間差がある。
- 返済額の増え方は残高・残期間で決まる。「0.25%でいくら増えるか」を自分の数字で把握しておく。
- 固定への切り替えは「安心」と引き換えに返済額が確実に増える。家計の耐久力を軸に判断する。
- 繰り上げ返済は生活防衛資金を残して。借り換えは総費用込みで比較する。
- 団信・生命保険・火災保険など、家に関わる固定費もこの機会にまとめて点検する。
金利のある時代に戻ったいま、住宅ローンは「借りたら終わり」ではなく「定期的に点検するもの」になりました。慌てて動くより、まず自分の契約の数字を確かめることから始めてみてください。
※この記事は2026年10月時点の情報をもとに作成しています。金利・制度は変更される場合があります。各銀行の適用金利や返済ルールは、必ず契約先の金融機関の公式情報・契約書でご確認ください。本記事は特定の金融商品の勧誘を目的とするものではありません。