2026年10月1日からふるさと納税の新ルールが始まりましたが、寄付した人が受けられる「自己負担2,000円で税金が控除される」仕組み自体は変わっていません。変わったのは自治体側の基準で、寄付金のうち自治体の手元に残す割合が「52.5%以上」に引き上げられ、返礼品の地場産品ルールも厳しくなりました。その結果、同じ寄付額でも返礼品の量が減ったり、寄付額が引き上げられたり、取り扱いが終了したりする返礼品が出ているといわれています。
この記事では、総務省の資料と公式発表をもとに、10月から何が変わったのか、私たちの控除や手続きはどうなるのか、そして年末までにどう動けばよいかを整理します。
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この記事でわかること
✓ 2026年10月1日から変わった3つのルール(52.5%ルール・地場産品基準・費用の公表)
✓ 返礼品が「減る・寄付額が上がる・終了する」理由と実際の例
✓ 寄付者の控除・自己負担2,000円・ワンストップ特例は変わらないこと
✓ 年収別の控除上限の目安と、年末までのスケジュール
✓ 2027年の「193万円上限」など、今後の予定と注意点
結論・最新状況|10月改正で変わったこと・変わらないこと
まず全体像を表で確認しておきましょう。今回の改正は「自治体がふるさと納税を募集するときの指定基準」の見直しで、寄付者の税制そのものには手が入っていません。
| 項目 | 改正前(2026年9月まで) | 改正後(2026年10月1日〜) |
|---|---|---|
| 自治体の手元に残す割合 | 募集費用が寄付額の5割以下(=残り5割以上) | 「寄附金活用可能額」52.5%以上(費用は47.5%以下)。2029年10月までに段階的に60%以上へ |
| 返礼品の割合 | 寄付額の3割以下 | 変わらず3割以下 |
| 地場産品の基準 | 区域内で「相応の付加価値」が生じていればよい | 価値の過半が区域内の工程で生じていることを製造者が証明・公表。ロゴ入りの区域外製品は自治体自身の配布・販売実績の数量が上限 |
| 募集費用の公表 | 総額の公表のみ | 1支払先あたり100万円以上の支払先・金額・目的を公表(2025年度分から) |
| 寄付者の自己負担 | 2,000円 | 変わらず2,000円 |
| 控除の上限・計算方法 | 年収・家族構成で決まる | 変わらず(2027年寄付分から特例控除額に193万円の上限) |
| ワンストップ特例・確定申告 | 5自治体以内なら申請書で手続き可 | 変わらず |
| ポータルサイトのポイント | 2025年10月からすでに付与禁止 | 変わらず(クレジットカード会社のポイントは対象外) |
総務省が2026年3月24日に公表した資料によると、改正の背景には、集まった寄付金のうちポータルサイト運営事業者への手数料などの募集費用が大きくなり、肝心の自治体に残る額が目減りしていることへの問題意識があるとされています。
そもそも何が問題だったのか|寄付金1兆3,314億円の使われ方
総務省が2026年7月31日に公表した「ふるさと納税に関する現況調査結果」によると、2025年度(令和7年度)の受入額は1兆3,314億円、件数は5,963万件で、前年度から約4.6%増えて過去最高を更新しています。控除を受けた人は約1,151万人にのぼります。
一方で、受入額に対する募集費用の割合は合計で47.9%でした。内訳は返礼品の調達費が26.5%、事務費などが13.6%、返礼品の送付費が5.7%、決済費が1.5%、広報費が0.7%です。つまり、寄付した金額のうち自治体の手元に残るのは5割強にとどまっていたことになります。
ポータルサイト経由の寄付が受入額の97.2%を占め、ポータルサイト運営事業者への支払総額は2,433億円(受入額の18.8%)に達しているとされています。この「中間コスト」を抑え、寄付金をより多く地域に残すことが今回の改正の狙いといわれています。

10月から変わった3つのルールをわかりやすく
①「52.5%ルール」|自治体に残す割合を段階的に6割へ
これまでの「募集費用は寄付額の5割以下」という告示上の基準が、2026年10月1日から「寄附金活用可能額(寄付額から募集費用を引いた額)を52.5%以上にする」という基準に置き換わりました。総務省の資料では、この割合を2027年10月から55%、2028年10月から57.5%、2029年10月以降は60%以上へと段階的に引き上げる予定とされています。
費用の計算は「寄付を受け取った日」を基準に行うルールに統一され、返礼品そのものの割合(3割以下)は変わっていません。つまり自治体は、返礼品以外の送料・決済手数料・ポータルサイト手数料・事務費などをこれまで以上に圧縮する必要が出てきています。
② 地場産品基準の厳格化|「どこで価値が生まれたか」を証明
返礼品は原則として自治体の区域内で生産・加工された「地場産品」である必要がありますが、これまでは区域内で「相応の付加価値」が生じていれば認められていました。改正後は、製造・加工品について価格をもとに付加価値を算出し、価値の過半が区域内の工程で生じていることを製造者が証明して公表する必要があるとされています。
また、自治体のロゴを入れただけの区域外製造品など「広報目的」の返礼品は、直近1年間に自治体自身が広報目的で配布・販売した実績の数量が上限になるなど、4つの要件をすべて満たす必要があります。楽天ふるさと納税の案内でも、この基準変更により一部の返礼品の取り扱いが終了する可能性があると説明されています。
③ 募集費用の「見える化」|100万円以上の支払先を公表
自治体は、ふるさと納税の募集にかかった費用のうち、1つの支払先あたり100万円以上のものについて、支払先の名称・所在地・金額・目的を一覧で公表することになりました。2025年度分から適用され、2026年9月から公表が始まっているとされています。寄付者から見ると、自分の寄付金がどこにどれだけ使われたのかを確認しやすくなります。
返礼品はどう変わる?「減る・上がる・終了」の実例
改正の影響は、すでに返礼品のラインナップに表れ始めているようです。KBC(九州朝日放送)の2026年9月30日の報道では、福岡県うきは市の柿が「寄付11,000円で3kg」から約2割高い13,000〜14,000円に見直される例や、同市で40〜50品目の返礼品が提供できなくなる見込みであることが紹介されています。送料を削りにくい生鮮品ほど、寄付額の引き上げに向かいやすいといえそうです。
同じ報道では、ふるさと納税の専門サイトの調査として、9月30日までに2万点を超える返礼品が受け付けを終了したこと、継続する返礼品でも「200gから180gへ」といった内容量の見直しが起きる見込みであることも伝えられています。
| 変化のパターン | 起きやすい返礼品 | 寄付者の対応 |
|---|---|---|
| 寄付額の引き上げ | 送料が高い生鮮品・冷凍品・重量物(果物、米、肉、海産物など) | 同じ品でも寄付額が変わっていないか申込前に確認 |
| 内容量の減少 | 加工食品・小分け商品 | 「寄付額あたりの量」を前年と比べる |
| 取り扱いの終了 | 区域外で製造されたロゴ入り雑貨、企画のみ区域内の工業製品、輸入品の保管・熟成品 | 代わりの返礼品や別の自治体を検討 |
| 影響が小さい | 旅行券・体験型、常温で小型の品 | ラインナップが安定しやすい |
ただし、これは「返礼品が一斉になくなる」という話ではありません。基準を満たすかどうかは返礼品ごとに個別に判断されるため、人気の米や肉なども、多くの自治体で提供が続くとみられます。物価高で食費が気になる家庭にとっては、米や日用品を返礼品で受け取る「生活防衛型」の使い方が引き続き有効と考えられます。
▶ 【2026年5月最新】コメ価格が下落!向こう3ヶ月「安くなる」見通し|スーパー平均3,700円台、令和の米騒動は終わる?
寄付者の控除は変わらない|仕組みと年収別の目安
繰り返しになりますが、今回の改正で寄付者の控除の計算方法は変わっていません。寄付額のうち2,000円を超える部分が、上限の範囲内で所得税と住民税から控除される仕組みです。控除の上限は年収や家族構成、ほかの控除の有無で決まります。
総務省が公表している目安表をもとに、主な年収帯の上限を整理すると次のようになります(給与所得者で、社会保険料を給与収入の15%と仮定した場合の目安)。
| 給与収入 | 独身または共働き | 夫婦(配偶者に収入がない) |
|---|---|---|
| 300万円 | 28,000円 | 19,000円 |
| 400万円 | 42,000円 | 33,000円 |
| 500万円 | 61,000円 | 49,000円 |
| 600万円 | 77,000円 | 69,000円 |
年収700万円以上の人や、子どもを扶養している人は、総務省ふるさと納税ポータルサイトの目安表で家族構成ごとの金額を確認してください。この表はあくまで目安です。住宅ローン控除や医療費控除を受けている人、高校生以上の子どもを扶養している人、個人事業主などは上限が低くなることがあります。また、2026年分からは基礎控除や給与所得控除の見直しが所得税に反映されるため、目安表が最新の税制を完全には反映していない可能性もあります。実際の上限は、各ポータルサイトの詳細シミュレーションや源泉徴収票をもとに確認するのが安全です。
所得税と住民税の控除の全体像や、年末調整との関係は次の記事でも解説しています。
▶ 税金の基礎知識|知らないと損する節税テクニック【2026年最新】
年末までのスケジュール|いつまでに何をする?
2026年分として控除を受けるには、2026年12月31日までに寄付を完了させる必要があります。多くのポータルサイトでは「決済が完了した日」が寄付日として扱われるため、年末ぎりぎりのクレジットカード決済や、銀行振込・納付書払いは特に注意が必要です。
手続きは「ワンストップ特例」と「確定申告」のどちらかです。ワンストップ特例は、寄付先が5自治体以内で、もともと確定申告をしない給与所得者などが対象で、申請書(またはオンライン申請)を翌年1月10日必着で自治体に提出します。医療費控除や住宅ローン控除の初年度などで確定申告をする人は、ワンストップ特例を申請していても確定申告でまとめて手続きする必要があります。
なお、ふるさと納税の控除は会社の年末調整では処理できません。年末調整の書類に寄付額を書く欄はないため、「年末調整をしたから大丈夫」と思い込まないようにしましょう。2026年の年末調整の変更点は次の記事で確認できます。
▶ 【2026年】年末調整で何が変わる?基礎控除104万円・保険料控除6万円特例

10月以降に寄付するときの選び方・注意点
「量」より「寄付額あたりの量」で比べる
改正後は、同じ返礼品でも寄付額や内容量が見直されているケースがあります。去年と同じ感覚で申し込むのではなく、寄付額あたりの量や単価を他の自治体と比べてから選ぶと、満足度の差が出にくくなります。ポータルサイトの「お気に入り」に入れていた返礼品は、内容が更新されていないかもう一度確認してみてください。
送料がかかりにくい返礼品はラインナップが安定しやすい
費用率の上限が下がると、送料や冷蔵・冷凍の費用が大きい返礼品ほど見直しの対象になりやすいと考えられます。日用品のまとめ買い、常温保存できる加工品、旅行券や体験型の返礼品は比較的影響が小さいとされており、「使い切れる量」を基準に選ぶとムダになりません。
控除上限を超えないよう、年末にまとめず計画的に
12月は人気返礼品の受け付けが終了したり、発送が年明けになったりしやすい時期です。上限額をあらかじめ確認したうえで、10〜11月に半分程度を済ませ、残りを年末のボーナス後に回すなど、分けて寄付すると管理しやすくなります。ボーナスの使い道や物価高への家計対策は次の記事も参考にしてください。
▶ 【2026年最新】値上げラッシュ対策|年間10万円節約する方法と今すぐできる節約術10選
自治体の「使い道」や費用の公表も見てみる
今回の改正で、自治体は募集費用の支払先を公表することになりました。返礼品だけでなく、寄付金の使い道(子育て支援、防災、医療など)や費用の内訳を公開している自治体を選ぶのも、ふるさと納税本来の趣旨に沿った使い方といえます。

今後の予定|2027年の「193万円上限」とは
令和8年度(2026年度)税制改正では、ふるさと納税の住民税の「特例控除額」に上限を設けることも決まっています。総務省の資料によると、給与収入が約1億円に相当する水準で特例控除額を193万円に定額で頭打ちにするもので、2027年(令和9年)の寄付分から適用される予定です。
対象になるのは年収数千万円以上の層に限られるため、一般的な会社員や子育て世帯への影響はないとされています。「ふるさと納税に上限ができる」というニュースを見て不安になった人も、自分の年収帯なら従来どおりと考えてよいでしょう。
また、2025年10月からはポータルサイトが独自に付与するポイントがすでに禁止されています。クレジットカード会社の決済ポイントは対象外ですが、「ポイント還元で得をする」という使い方はできなくなっているため、返礼品の内容と使い道で選ぶことが基本になります。
10月は食品の値上げも続いています。家計全体の見直しとあわせて、ふるさと納税の使い方も計画してみてください。
▶ 【2026年10月値上げ一覧】食品3,153品目・酒税改正・たばこはいくら上がる?
よくある質問(FAQ)
Q1. 9月までに寄付した分は、10月の改正で何か変わりますか?
A. 変わりません。改正は2026年10月1日以降の寄付(自治体の指定)に適用されるもので、楽天ふるさと納税の案内でも過去の寄付への影響はないと説明されています。控除の手続きも従来どおりです。
Q2. 自己負担2,000円や控除上限は変わりましたか?
A. 変わっていません。今回の改正は自治体側の指定基準の見直しで、寄付者の税制は同じです。2027年寄付分からの「193万円上限」も、給与収入約1億円相当の高所得層だけが対象とされています。
Q3. 返礼品がなくなったり減ったりするのはなぜですか?
A. 自治体が寄付金の52.5%以上を手元に残す必要があり、送料や手数料などの費用を抑えなければならないためです。また地場産品の基準が厳しくなり、区域外で製造された品などは提供できなくなる場合があります。
Q4. 2026年分として控除を受けるには、いつまでに寄付すればよいですか?
A. 2026年12月31日までに寄付を完了させる必要があります。多くのポータルサイトでは決済完了日が基準になるため、振込や納付書払いは余裕を持って手続きしましょう。
Q5. ワンストップ特例と確定申告はどちらを使えばよいですか?
A. 寄付先が5自治体以内で、もともと確定申告をしない給与所得者などはワンストップ特例(翌年1月10日必着)が使えます。医療費控除などで確定申告をする人や、6自治体以上に寄付した人は確定申告で手続きします。
Q6. 年末調整でふるさと納税の控除はできますか?
A. できません。年末調整の書類に寄付額を記入する欄はなく、ワンストップ特例か確定申告が必要です。
Q7. ポイント還元はもう受けられないのですか?
A. ポータルサイトが独自に付与するポイントは2025年10月から禁止されています。クレジットカード会社など決済事業者のポイントは対象外とされていますが、条件は各サービスで確認してください。
Q8. 10月以降、どんな返礼品を選ぶとよいですか?
A. 寄付額あたりの量を他の自治体と比べ、使い切れる量の日用品・常温保存できる加工品や、普段から買う米などを選ぶと失敗しにくいといわれています。寄付金の使い道を公開している自治体を選ぶのもおすすめです。
結論|ふるさと納税の2026年10月改正で押さえておきたいこと
- 2026年10月1日から、自治体が寄付金の52.5%以上を手元に残す「寄附金活用可能額」の基準が始まり、2029年10月以降は60%以上へ段階的に引き上げられる予定です。
- 地場産品の基準が厳しくなり、区域外製造のロゴ入り品などは返礼品にしにくくなったため、寄付額の引き上げ・内容量の減少・取り扱い終了が一部で起きています。
- 寄付者の自己負担2,000円、控除の計算方法、ワンストップ特例・確定申告の手続きは変わっていません。
- 2026年分の寄付期限は12月31日、ワンストップ特例の申請は2027年1月10日必着、確定申告は2027年2月16日〜3月15日です。
- 2027年寄付分からの「193万円上限」は給与収入約1億円相当の層が対象で、一般的な年収帯には影響しないとされています。
まとめ
今回の改正は、寄付金をより多く地域に残すための「自治体側のルール変更」であり、私たちの控除の仕組みは従来どおりです。一方で、返礼品の寄付額や内容量は見直されているものがあるため、去年と同じ感覚で選ばず、寄付額あたりの量を比べることが大切になります。
- まず自分の控除上限の目安を確認し、12月に慌てないよう10〜11月から計画的に寄付する
- お気に入りに入れていた返礼品は、寄付額・内容量が変わっていないか再確認する
- 日用品・常温加工品・体験型など送料がかかりにくい返礼品は、ラインナップが安定しやすい
- ワンストップ特例は翌年1月10日必着。確定申告をする人は申告でまとめて手続きする
- 年末調整では控除できないので、手続き漏れに注意する
制度の細かな運用は自治体やポータルサイトによって異なることがあります。申し込み前に、各自治体のページで最新の寄付額・内容量・受け付け状況を確認してから寄付しましょう。
※この記事は2026年10月時点の情報をもとに作成しています。制度の内容や返礼品の条件は変更される可能性があるため、最新情報は総務省のふるさと納税ポータルサイトおよび各自治体の公式サイトでご確認ください。税額の計算や申告についての個別のご相談は、税務署または税理士にご確認ください。