2026年11月1日から、大手電力10社のうち9社が電気料金の基本料金と電力量料金の単価を引き上げます。原因は、送配電網の利用料にあたる「託送料金」の改定で、各社が公表した標準的な家庭(モデル)の増加額は月254円(東京電力EP)から590円(沖縄電力)です。10月使用分で政府の電気・ガス補助が終わる時期と重なるため、11月・12月に届く請求は2段階で上がる見込みです。この記事では、託送料金の仕組み、エリア別の値上げ額、いつの請求から反映されるか、家庭でできる対策を各社の発表資料と経済産業省の資料をもとに整理します。
※本記事はアフィリエイト広告(PR)を含みます。
この記事でわかること
✓ 11月1日から電気代が上がる理由(託送料金とは何か)
✓ 大手9社のモデル世帯でいくら上がるか(エリア別一覧)
✓ 補助金終了と重なって、11月・12月の請求がどう動くか
✓ 基本料金が大きく上がるエリアと、契約アンペア見直しの考え方
✓ 暖房シーズン前にできる対策と、勧誘トラブルの注意点
結論・最新状況|11月1日から大手9社が値上げ、標準家庭で月254〜590円
2026年9月25日から29日にかけて、北海道・東北・東京・中部・関西・中国・四国・九州・沖縄の各電力会社が、託送料金の改定を反映した新しい料金単価を発表しました。適用は2026年11月1日以降の使用分からで、規制料金(従量電灯B・Aなど)と低圧の自由料金プランの両方が対象です。北陸電力は、2026年10月8日時点で託送料金の見直しが決まっておらず、値上げの有無は未定です。
| 電力会社 | モデル世帯の条件 | 月額の増加額 | 発表日 |
|---|---|---|---|
| 北海道電力 | 従量電灯B・30A・230kWh | +481円 | 9月25日 |
| 東北電力 | 従量電灯B・30A・260kWh | +485円(8,204円→8,689円) | 9月28日 |
| 東京電力EP | 従量電灯B・30A・260kWh | +254円 | 9月29日 |
| 中部電力ミライズ | 従量電灯B・30A・260kWh | +395円(9,252円→9,647円) | 9月29日 |
| 北陸電力 | ― | 未定(託送料金の見直し未決定) | ― |
| 関西電力 | 従量電灯A・260kWh | +407円(6,175円→6,582円) | 9月29日 |
| 中国電力 | 従量電灯A・260kWh | +363円(8,742円→9,105円) | 9月28日 |
| 四国電力 | 従量電灯A・260kWh | +478円(8,894円→9,372円) | 9月29日 |
| 九州電力 | 従量電灯B・30A・250kWh | +367円(6,876円→7,243円) | 9月28日 |
| 沖縄電力 | 従量電灯・260kWh | +590円(9,174円→9,764円) | 9月29日 |
出典:各電力会社の発表資料(2026年9月25〜29日)。モデルの使用量や、燃料費調整額・再エネ賦課金を含めるかどうかの前提が会社ごとに異なるため、金額は横並びの目安としてご覧ください。関西電力のモデルは燃料費調整額と再エネ賦課金を含まない料金で比較しています。
政府の「電気・ガス料金支援」が9月使用分(10月検針分)で終了したことと合わせると、11月以降の電気代は「補助の消滅」と「託送料金改定」の2つの要因で上がることになります。補助終了分の計算方法は、次の記事で解説しています。
▶ 【2026年10月】電気・ガス補助金終了でいくら上がる?11月請求と冬の節約策
託送料金とは?なぜ電気代が上がるのか
託送料金は、発電所でつくられた電気を家庭まで届ける送電線・変電所・配電線(送配電網)の利用料です。電気を販売する小売電気事業者(大手電力や新電力)が、各エリアの一般送配電事業者(東京電力パワーグリッドなど)に支払い、その費用は電気料金の原価として基本料金と電力量料金に含まれています。電力・ガス取引監視等委員会の資料では、託送料金は家庭の電気料金のおよそ3割を占めるとされています。
託送料金は2023年度からレベニューキャップ制度という仕組みで決まっています。送配電会社が5年間(第1規制期間は2023〜2027年度)に必要な費用と投資を計画し、国の審査を経て「収入の上限」を設定する方式です。今回は、この規制期間の途中で収入の見通しを見直す「期中調整」が行われました。
経済産業省の発表によると、2026年7月10日に北海道・東北・東京・中部・関西・四国・九州・沖縄の送配電8社が収入見通しの変更承認を申請し、理由として人件費や物価関連指標の上昇、金利上昇による支払利息の増加を挙げています。東北電力の資料では、送配電設備の維持・更新やレジリエンス(災害への強さ)強化の投資額が、物価・労務費・金利の上昇で当初想定を上回ったことが背景と説明されています。中国電力ネットワークも別途、託送供給等約款の変更届出を行い、同じ11月1日から託送料金を改定します。
東京エリアの託送料金(低圧平均・税抜)
8.58→9.65円/kWh
北海道エリア
10.23→12.12円/kWh
沖縄エリア
11.53→13.52円/kWh
送配電各社が公表した低圧の平均託送料金は、改定前後で1kWhあたり1円以上上がるエリアが大半です。例えば東京エリアは8.58円から9.65円(+1.07円)、関西エリアは7.82円から9.04円(+1.22円)、沖縄エリアは11.53円から13.52円(+1.99円)です。ただし、これはあくまで送配電会社が小売会社に請求する単価で、家庭の電気料金への反映のしかたは、小売会社や料金プランごとに異なります。
いつの請求から上がる?補助終了と重なる「2段階」の値上げ
新しい単価が適用されるのは2026年11月1日以降の使用分です。九州電力や北海道電力は、11月分の料金について10月31日までの使用分と11月1日以降の使用分を日割りで計算すると案内しています。つまり、検針日が月の途中にある家庭では、11月に届く請求に改定分の一部が入り、12月に届く請求から全額が反映されるのが一般的な流れです。
一方、政府の電気・ガス料金支援(電気3.5円/kWhの値引き)は9月使用分で終了し、10月使用分=11月検針分から値引きがなくなります。月260kWhの家庭なら値引き分だけで910円の差です。これに託送料金改定分が重なるため、11月から12月にかけての請求は段階的に上がり、さらに暖房で使用量が増える1〜2月に向けて負担が膨らみやすい構造になっています。
⚠️ 注意
各社が公表した増加額は「託送料金改定分」だけを切り出した数字で、補助金の終了分や毎月変わる燃料費調整額は含まれていません。実際の請求額は、この記事の金額より大きく変わる可能性があります。11月・12月の検針票では、前年同月の使用量(kWh)と比べて、使用量の増減と単価の変化を分けて確認してください。
基本料金が大きく上がる会社、電力量料金が上がる会社
今回の改定は、会社によって「基本料金(最低料金)を大きく上げる」タイプと「電力量料金の単価を上げる」タイプに分かれます。基本料金型のエリアでは使用量が少ない家庭ほど値上げ率が高くなり、電力量料金型のエリアでは使用量が多い家庭ほど負担が増えます。
| 電力会社(プラン) | 基本料金・最低料金(改定前→改定後) | 電力量料金の上げ幅 |
|---|---|---|
| 北海道電力(従量電灯B・30A) | 1,254.00円→1,716.30円(+462.30円) | 全区分+0.08円/kWh |
| 東北電力(従量電灯B・30A) | 1,108.80円→1,232.13円(+123.33円) | 全区分+1.39円/kWh |
| 東京電力EP(従量電灯B・30A) | 935.25円→1,176.18円(+240.93円) | 全区分+0.05円/kWh |
| 中部電力ミライズ(従量電灯B・30A) | 963.42円→1,343.76円(+380.34円) | +0.05〜0.06円/kWh |
| 関西電力(従量電灯A・最低料金) | 522.58円→763.81円(+241.23円) | 全区分+0.68円/kWh |
| 中国電力(従量電灯A・最低料金) | 759.68円→983.37円(+223.69円) | 全区分+0.57円/kWh |
| 四国電力(従量電灯A・最低料金) | 666.89円→953.13円(+286.24円) | 全区分+0.77円/kWh |
| 九州電力(従量電灯B・30A) | 948.72円→1,325.07円(+376.35円) | 公表資料の別紙を参照 |
| 沖縄電力(従量電灯・最低料金) | 643.05円→767.82円(+124.77円) | 全区分+1.86円/kWh |
出典:各社の発表資料(税込)。30Aの基本料金は、10Aあたりの単価(東京311.75円→392.06円、東北369.60円→410.71円、中部321.14円→447.92円、九州316.24円→441.69円、北海道418.00円→572.10円)を3倍して算出しています。中部電力ミライズの新単価には、2024年4月適用の規制料金の原価算定誤りの是正分も含まれると報じられています。
北海道・東京・中部・九州のように基本料金の上げ幅が大きいエリアでは、契約アンペア(契約容量)を1段階下げるだけで、値上げ分の多くを打ち消せる場合があります。東京電力EPの従量電灯Bなら、改定後の基本料金は10Aあたり392.06円なので、40Aから30Aに下げると月392.06円の差になります。
💡 ポイント
契約アンペアは、同時に使う家電の合計で決まります。エアコン・電子レンジ・ドライヤー・IH調理器などを同時に使う時間帯があるか、ここ1年でブレーカーが落ちたことがあるかを確認し、落ちた経験がなければ引き下げを検討する価値があります。変更は電力会社のマイページや電話で申し込め、多くの場合は無料です(契約変更後、一定期間は再変更できない会社もあります)。
新電力や自由料金プランも上がる?
託送料金は、大手電力だけでなく新電力を含むすべての小売電気事業者が同じ条件で負担します。そのため、大手電力の自由料金プラン(東京電力EPの「スタンダードS」など)も同じ11月1日に単価が見直され、多くの新電力も同時期に料金改定を発表しています。「大手より安い」と思っていたプランでも、改定の有無と幅は契約先のお知らせやマイページで必ず確認してください。

注意したいのは、改定の内容が会社によって異なる点です。比較サイトの解説では、過去に託送料金の改定幅を上回る値上げをした新電力があったとも指摘されています。切り替えを検討する際は、基本料金・電力量料金の単価だけでなく、燃料費調整額に上限があるか、市場価格に連動するプランかまで含めて比べることが大切です。
▶ 【2026年最新】値上げラッシュ対策|年間10万円節約する方法と今すぐできる節約術10選
家庭でできる対策5つ|暖房シーズン前に済ませておくこと
1. 契約アンペアと料金プランを見直す
基本料金型の値上げが大きいエリアでは、前述のとおり契約アンペアの見直しが最も効果の見えやすい対策です。あわせて、現在のプランが規制料金か自由料金か、夜間の単価が安い時間帯別プランかどうかを確認し、生活パターンに合っているかを見直します。オール電化や在宅勤務で日中の使用量が多い家庭は、プランの向き不向きが出やすいところです。
2. どの家電が電気を使っているかを「測る」
電力量料金が上がるエリアでは、使用量そのものを減らすことが対策の中心になります。資源エネルギー庁の資料では、冬の家庭の電力消費は暖房の割合が最も大きいとされています。コンセントに差し込むだけで消費電力を表示できるワットチェッカーを使うと、古い冷蔵庫や待機電力の大きい機器など、思わぬ「電気食い」を数字で把握できます。
3. 暖める範囲を小さくして、エアコンの稼働時間を減らす
部屋全体を暖めるエアコンに対して、電気毛布やこたつは体のまわりだけを暖めるため消費電力が小さい傾向があります。在宅ワーク中や就寝時など動かない時間帯は局所暖房に切り替え、エアコンは外出前・就寝前に早めに切るだけでも、使用量の削減につながります。暖房器具ごとの電気代の目安は、次の記事で比較しています。
▶ 暖房器具の電気代比較|こたつ・電気毛布・エアコンは1時間いくら?

4. 窓の断熱と加湿で、設定温度を上げずに済ませる
冬の暖房時、室内の熱の多くは窓から逃げるといわれています。断熱シートや隙間テープ、床まで届く厚手のカーテンで窓まわりを整え、加湿で体感温度を保つと、設定温度を1℃下げても過ごしやすくなります。資源エネルギー庁の試算では、エアコン暖房の設定温度を21℃から20℃にするだけで年間約1,650円の節約が見込めるとされています。
▶ 窓の結露対策はどれが効く?断熱シート・内窓の費用と補助金を解説
▶ 加湿器の電気代はいくら?スチーム・気化・超音波・ハイブリッドの選び方
5. 「値上げに伴う見直し」を装った勧誘に注意する
電気料金の値上げが話題になる時期は、電気やガスの契約切り替えを勧める訪問販売や電話勧誘が増えやすいといわれています。「大手電力から委託されている」と名乗る、検針票や供給地点特定番号を見せるよう求める、「今だけ安くなる」と急がせるといった手口には注意が必要です。契約する意思がなければはっきり断り、困ったときは消費者ホットライン「188」に相談してください。
✅ 11月1日までにやっておきたいチェック
✓ 契約している電力会社・プラン名と、改定のお知らせが届いているか
✓ 検針票またはマイページで、契約アンペアと直近1年の月間使用量(kWh)
✓ この1年でブレーカーが落ちたことがあるか(なければアンペア引き下げを検討)
✓ エアコンのフィルター掃除と、窓の断熱シート・隙間テープの準備
✓ プロパンガスの家庭は、ガス料金の見直しもあわせて確認
▶ 【2026年最新】プロパンガス料金を見直して節約|平均価格・適正価格・乗り換え方法を徹底解説
よくある質問(FAQ)
Q1託送料金の改定は、何月の請求から反映されますか?
A2026年11月1日以降の使用分からで、11月分は日割り、12月分から全額が反映されるのが一般的です。
九州電力や北海道電力は、11月分を10月31日までと11月1日以降で日割り計算すると案内しています。検針日によって区切りが異なるため、検針票の「ご使用期間」を確認してください。
Q2補助金の終了と託送料金の改定で、結局いくら上がりますか?
A月260kWhの家庭では、補助終了分910円に託送料金改定分254〜590円が加わり、合計で月1,160〜1,500円前後の負担増が目安です。
補助終了分は「3.5円×使用量」で計算できます。託送料金改定分はエリアごとに異なり、これに毎月変動する燃料費調整額が加わるため、実際の請求額は前後します。
Q3北陸電力エリアは値上げしないのですか?
A2026年10月8日時点では、北陸電力送配電の託送料金の見直しが決まっておらず、11月1日の改定対象には入っていません。
東京電力EPも北陸エリア向けプランは見直さないとしています。今後、北陸でも見直しが申請・承認されれば改定される可能性があるため、北陸電力の発表を確認してください。
Q4新電力と契約していれば、今回の値上げは関係ありませんか?
A新電力も同じ託送料金を負担するため、多くの会社が11月前後に料金を改定しています。
改定の幅や時期は会社ごとに異なります。契約先からのお知らせやマイページで、11月以降の単価を確認しておきましょう。
Q5再エネ賦課金や燃料費調整額も一緒に上がりますか?
A再エネ賦課金は2027年4月分まで4.18円/kWhで変わらず、燃料費調整額は託送料金とは別に毎月動きます。
今回の改定で上がるのは基本料金と電力量料金の単価です。燃料費調整額は原油やLNGの輸入価格を数か月遅れで反映するため、冬の請求額はその動き次第でさらに変わります。
Q6契約アンペアを下げると、どのくらい安くなりますか?
A東京電力EPの従量電灯Bなら、改定後は10A下げるごとに月392.06円、年間で約4,700円の差になります。
ただし、下げすぎると家電の同時使用でブレーカーが落ちやすくなります。関西・中国・四国のように最低料金制のエリアでは、アンペアの概念がないため別の対策が必要です。
結論|11月からの電気代値上げで押さえておきたいこと
11月1日から大手9社が値上げ
託送料金の改定を反映し、モデル世帯の増加額は月254〜590円。北陸電力は未定です。
原因は送配電網の利用料
人件費・物価・金利の上昇で送配電8社が収入見通しを見直し、2026年9月4日に国が承認しました。
請求は11月・12月の2段階で上がる
10月使用分で補助(3.5円/kWh)が消え、11月使用分から新単価が日割りで反映されます。
基本料金型のエリアはアンペア見直しが有効
北海道・東京・中部・九州は30Aの基本料金が月240〜462円上がるため、契約容量の引き下げで相殺できる場合があります。
まとめ

✅ この記事のまとめ
✔ 託送料金は電気代の約3割を占める「見えない送料」で、2026年11月1日から大手9社の単価に反映されます。
✔ 自分のエリアの増加額と、基本料金型か電力量料金型かを把握することが、対策を選ぶ出発点です。
✔ 補助終了分と合わせると月1,160〜1,500円前後が目安で、暖房で使用量が増える冬はさらに膨らみやすい構造です。
✔ 契約アンペアの見直し・局所暖房・窓の断熱は、今日から取りかかれる対策です。
電気代は「単価」は自分で変えられなくても、「契約」と「使い方」は家庭側で調整できます。まずは検針票かマイページで契約アンペアと月間使用量を確認し、11月1日までに契約とプランを一度見直してみてください。
※この記事は2026年10月時点の情報(経済産業省「一般送配電事業者8社から託送供給等に係る収入の見通しの変更承認申請を受理しました」2026年7月10日、東北電力「託送料金の変更に伴う電気料金の見直しについて」2026年9月28日、九州電力・北海道電力・東京電力エナジーパートナー・中部電力ミライズ・関西電力・中国電力・四国電力・沖縄電力の2026年9月25〜29日発表資料、電力・ガス取引監視等委員会「託送料金とレベニューキャップ制度」、資源エネルギー庁 省エネポータルサイトなど)をもとに作成しています。金額はいずれも各社のモデル条件に基づく目安で、実際の請求額は契約内容・使用量・燃料費調整額によって異なります。北陸電力エリアの扱いや各社の最終的な単価は、各社の発表でご確認ください。